声で進む仕組み
声に合わせて原稿が進む、音声認識のプロンプター
決まった速さで流れるプロンプターは、話す人のほうが文字を追いかけます。Wispim は逆です。いま口にした言葉を聞き取って、原稿のほうをそこまで運びます。黙れば待ち、速くなれば追いつき、前の行を言い直せばその行へ戻ります。
「声に合わせて進む」の中身
「音声」で読んでいるあいだ、Wispim はiOSの音声認識が拾った言葉と原稿を突き合わせています。起きることは三つだけです。黙れば、その行で止まって待ちます。速く読めば、そのぶん速く送られます。前の行をもう一度言えば、その行まで戻ります。
三つ目が仕組みを言い当てています。聞こえた言葉が原稿のどこにあるかを探しているだけなので、戻ることは進むことと同じ動作です。たまったずれを直す必要もありません。3・2・1のカウントダウンもありません。「開始の待ち時間」が終わると、「音声」と「音」は最初の一言が出るまで静かに待ちます。
決まった速さだと噛みやすい理由
速さを固定したプロンプターは、話し手に二つの仕事を同時にさせます。原稿を声にすることと、いま何を言ったか知らない機械に歩調を合わせることです。追いつこうとすれば早口になり、待とうとすれば間が空きます。見ている人が気づくのは読んでいること自体ではなく、そのテンポの不自然さと、行を探して横へ動く目線のほうです。原稿が言葉についてくれば、二つ目の仕事はなくなります。
「音」を選ぶとき
「音」は言葉ではなく、声が出ているかどうかで原稿を送ります。聞こえているあいだ進み、止まれば止まる。聞き取った中身を原稿と突き合わせることはしません。出番は二つです。ひとつは、iPhoneが認識できない言語で読むとき。言語を聞き分けていないので、どの言語でも動きます。もうひとつは、認識が苦しい条件のとき。人の多い場所、マイクの遠い収録、固有名詞と数字ばかりの原稿です。引き換えもあります。「音」は言い直したことが分からないので、自分から前の行へ戻ることはできません。
「定速」と、マイクの受け渡し
「定速」は「速さ」を1分あたりの語数で決めて流れる、昔ながらのプロンプターです。これが正解になる現場があるので残しています。スクロールにマイクを使わない唯一のモードです。「開始の待ち時間」は三つのモード共通の設定で、オフ、5秒、10秒、20秒から選び、原稿が動き出す前の間になります。全画面だけでなく小窓の中にも出ます。
マイクの受け渡しも、ここに関わります。カメラ、Instagram、TikTokで録画しているあいだ、声への追従はそのまま続きます。この三つは実際に確認しました。それでも別のアプリがテイクの途中でマイクを握った場合、テイクはそこで待ちます。そこまで読んだ語で止まって「マイク占有中」と出て、マイクが戻ると「再び聞き取り中」と出てその語から続きます。スクロールでマイクに頼りたくないときに選ぶのが「定速」です。行きと帰りの両方は小窓のページに、三つのモードを並べたところはトップにあります。
認識はどこで行われるのか
Wispim は、その言語に端末内のモデルがあればiPhone本体での認識を要求します。モデルがない言語では、iOSが音声をAppleへ送ってテキストに変えます。これはAppleの仕組みで、どちらの場合も音声が私たちに渡ることはありません。
「認識する言語」の一覧で事前に確認できます。ここに「完全オフライン」とは書きません。言語によっては嘘になるからです。原稿も音声も認識されたテキストも、こちらへ送られることはありません。残りは英語のプライバシーポリシーにあります。
言語の数は三つあって、同じ数ではありません
| 何の数か | いくつ |
|---|---|
| 声への追従 | iPhoneが認識できる言語すべて。現行のiOSで60以上のロケールで、一覧はiOSとともに変わります。 |
| アプリの表示 | 16言語。この16言語はすべて音声認識に対応しています。 |
| 音声コマンド | 10言語だけ。日本語は入っていません。フレーズは言語ごとに書き換えられます。残る6つの表示言語にもコマンドはなく、アプリはそう表示します。 |
聞き間違えられたときの戻し方
ときどき聞き間違えられます。同じ音の別の語、初めて読む名前、通りかかったトラックの音にかき消された一文などです。声で進むプロンプターが実戦で使えるかどうかは、そこからどう戻るかで決まります。どれも録画を止めずに済みます。
- 単語をタップ。触れた語から読みが続きます。どのモードでも動き、一時停止も入りません。
- 指でドラッグ。原稿を送って先を確かめたり、通り過ぎた行を読み返したりできます。そのあいだ追従は止まり、画面上部に「閲覧中」と出ます。その表示か、原稿以外の場所をタップすれば元の位置に戻ります。「音声」なら、そこから読み始めればWispim が追いついてきます。
- 音声コマンド。一時停止、再開、1文戻る、最初から、最後へを声で。用意されているのは10言語で、日本語は入っていません。
- 音量ボタン。一文戻る、一文進む。アプリ内で「実験的」と表示されている機能で、シャッターにボタンを取られるためカメラアプリの中では効きません。
タップもドラッグも全画面での操作です。小窓はタッチをいっさい受け付けません。iOSの制約で、音声コマンドが用意されている理由もそこにあります。ただしコマンドがあるのは10言語で、日本語は入っていません。原稿を小窓へ移すとき、カメラの上に重ねるとき、ZoomやGoogle Meetの前に置くときは、途中で操作しなくても成立するようにテイクを組んでおいてください。
よくある質問
日本語でも原稿は声に合わせて進みますか?
進みます。声への追従はiPhoneが認識できる言語ならどれでも動き、現行のiOSでは60以上のロケールに対応しています。日本語はアプリの表示16言語のひとつでもあります。ただし声で操作する音声コマンドは別の話で、そちらは10言語、日本語は入っていません。
アドリブを入れたり、言い間違えたらどうなりますか?
崩れません。「音声」は実際に口にした言葉を追うので、黙れば待ち、速くなれば追いつき、前の行を言い直せばその行へ戻ります。原稿から離れて、また戻ってくることもできます。位置を合わせ直したいときは、全画面で読みたい語をタップすればそこから続きます。一時停止も入りません。
声がiPhoneの外に出ることはありますか?
端末内のモデルがある言語では、認識はiPhoneの中で終わります。モデルがない言語では、iOSが音声をAppleへ送ってテキストに変えます。該当する言語は開始前の「認識する言語」に印が付き、原稿も音声も認識結果も、私たちに届くことはありません。
日本語で音声コマンドは使えますか?
使えません。音声コマンドがあるのは10言語で、日本語のフレーズは用意されておらず、アプリも日本語ではそう表示します。日本語で読むときに手元に残るのは、全画面での単語のタップ、指でのドラッグ、そして音量ボタンです。音量ボタンはアプリ内で「実験的」と表示され、カメラアプリの中では効きません。原稿が声に合わせて進むこと自体は、日本語でも動きます。